磁気モーメント\(\boldsymbolμ\)は
$$\boldsymbol{μ}=μ_0IS\boldsymbol{n}$$
と書けました.
ここから,角運動量ベクトルに一旦関連付けて
量子化し,軌道磁気モーメントを求める.
目次
角運動量ベクトル
一般に質点の
運動量のモーメント
のことを角運動量という.
したがって角運動量を\(\boldsymbol{L}\),運動量を\(\boldsymbol{p}\),位置を\(\boldsymbol{r}\)とすれば
$$\boldsymbol{L}=\boldsymbol{r}\times\boldsymbol{p}$$
とかける.
まぁ,復習です.
電子の角運動量ベクトル
前節で,ある質点の角運動量は
$$\boldsymbol{L}=\boldsymbol{r}\times\boldsymbol{p}$$
と書けた.これを今考えている系に当てはめて
角運動量の大きさを求めてみる.
まず,原点に戻って最初に示した系の図を再掲すると
な感じでした.
順を追って行こう.
まず,電子は一定の速さ\(v\)で運動しているから
運動量の大きさ\(p\)は
$$p=m_ev$$
となる.ここで\(m_e\)は電子の質量である.
(有効質量ではないのか!と思ったあなた.その通りです.
原子核のクーロン力を電子の円運動の根拠にしている以上
必然的にこの電子は結晶格子内にあるため,
厳密にはその質量は有効質量です
今回はそこに焦点を当てたくないため
単に「質量」としました)
さらに,電子は一定の速さ\({v}\)で運動しているから,
前の記事の角速度\(ω\)で書けば
$$v=aω$$
となる.最後に,動径ベクトルと電子の速度は直交しているから
成す角\(θ\)は90度である.
以上のことから角運動量の大きさ\(L\)は
$$L=a*m_e*aω$$
$$L=m_eωa^2$$
となる.
そして,磁気モーメントは前回の記事で
$$\boldsymbol{μ}=μ_0IS\boldsymbol{n}$$
と書けた.こちらも今考えている系に当てはめてみるが
実はこれらは前の記事で一回出ている.
見てほしい.結果だけ載せると
磁気モーメントの大きさは
$$μ=\frac{μ_0eωa^2}{2}$$
となる.
さらに,分母分子に電子の質量\(m_e)\をかけると
なんと先ほど求めた角運動量ベクトルの大きさが出てきて
$$μ=\frac{μ_0e}{2m_e}L$$
とかける.
これが,古典的な磁気モーメントである.
角運動量の量子化
最後のところです.
長くなります.
角運動量は位置と運動量の外積で与えられる
というのは,もうすでに分かると思う.
そして,何の迷いもなく位置と運動量を変数として扱ってきた.
しかし,これは間違っている.
なぜなら,今までの記述は
人間が観測しうる十分にマクロな質点系
でのみ成り立つ記述だからだ.
電子,という実体があって,原子核の周りを”周回”運動しているなんてものは
誰が見たことがあるだろうか.
少なくともまだいない.
だからいくつかの仮定をして
新しく分野を作ることにした.
それが量子力学で,今回の量子化も書いている.
で
何が言いたいの?
$$L={\hbar}s$$
を受け入れよ民よ.\(s\)はスピン量子数です.
※2/23追記:すいません方位量子数ではなくスピン量子数でした
いいか,これ.
なんで成り立つのかさっぱり分からん.
Internet の海も潜ったがミジンコ一匹いやしなかった.
これは必ず,解明して記事にします.
待ってて.
軌道磁気モーメントの導出
以上から古典的な磁気モーメントは
$$μ=\frac{μ_0e}{2m_e}L$$
で,これに量子化した角運動量ベクトルLを代入すれば
$$μ=\frac{μ_0e}{2m_e}\hbar{s}$$
となり,ボーア磁子\(μ_B\)が現れ
磁気モーメント\(μ\)が方位量子数によって離散化
軌道磁気モーメントとなる.
かなり.駆け足で仕上げた.
自分自身,まだいくつか分からないところがある.
うぅむ.ほんと理論屋にはなれそうにない.
少なくとも,量子化に関しては必ず記事にします.
では.